高額療養費制度と医療費控除

所得税

医療費控除上の補填金の扱い

確定申告の所得控除の一つに医療費控除があります。医療費の支払いが一定額以上であった場合には、医療費控除の適用をして確定申告をすることによって、既に納めた所得税が還付される場合があります。ただし、その医療費の支払いに対して、保険金や損害賠償金等によって補填があった場合は、その補填金額を除いて医療費控除の申告をしなくてはなりません。

高額療養費制度とは

病気やけがで医療費が高額になりそうな場合、果たして支払えるのだろうかとご心配の方もいらっしゃるかと思います。幸いなことに日本の健康保険法では、高額な医療費を支払った場合、一定の自己負担限度額を超えた分を後で払い戻してくれる高額療養費制度があります。自己負担限度額は、その人の収入に応じて決められています。この制度の詳細については、こちらを参照してください。

還付のタイミングと医療費控除の適用

冒頭で説明したように、確定申告で医療費控除の申告をする場合、補填される金額は医療費控除の金額から除かなくてはなりません。高額療養費制度による払戻金もその補填される金額に該当します。
ただ、高額療養費制度による高額医療費部分の払戻しは、通常治療費支払後3か月後位になります。12月に支払った治療費が高額になり、高額医療費に該当する部分について払戻しがある予定であっても、その金額が確定するのは3月から4月ということになります。払戻金が確定してからでは、確定申告期限までに申告できない可能性があります。では、実際にどのように確定申告をすればいいのでしょう。

通常、見込みの払戻金額を医療費から除き、期限内に申告をします。その後、払戻金額が違ったら、正しい還付金額で申告をし直すという流れになります。

もし、確定申告について医療費控除のみ適用して、還付申告をしたいという方であれば、その年の翌年から5年間還付申告をすることができますので、高額療養費の払い戻し金額が確定してから、確定申告をするのも一つの方法です。

高額療養費制度も確定申告の医療費控除も、ご本人にとって恩恵のある制度です。正しく知って、利用しましょう。