起業して個人事業主となった場合に、税務上提出する書類は、どういったものがあるでしょう。中でも、従業員を雇わず、全く一人で事業を行うひとり事業主について、まとめました。
開業届と青色申告承認申請書
ひとり事業主が開業した際に提出する書類は、原則的に以下の二つと考えていいでしょう。
1.個人事業の開業・廃業等届出書
開業したすべての事業者が、開業後1か月以内に提出
2.所得税の青色申告承認申請書
青色申告をしようとする事業者が、開業後2か月以内
参考に、ひとり事業主ではなく、従業員等を雇う個人事業主の方は、下記の書類の提出も検討しなくてはなりません。
1.給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
従業員(家族従業員含む)に給与を支払う事業者が、開業後1か月以内に提出
*個人事業の開業・廃業等届出書に給与等の支払の状況を記載した場合は、提出は不要です。
2.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
給与の支給人員が常時10人未満の事業者が、適用を受けようとする場合随時提出
3.青色事業専従者給与に関する届出書
一定の親族に支払う給与を経費計上しようとする事業者が、開業後2か月以内に提出
提出期限については、原則として上記に記載したとおりになりますが、それぞれ特例が適用される場合もあります。
また、事業内容によっては、「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」や「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」も提出を検討する必要がある場合もあります。
提出先は?
提出先は税務署ですが、どこの税務署に提出するか任意に選択できるわけではありません。開業の際の届出や確定申告書は、所属している納税地を管轄している税務署(所轄税務署)になります。個人事業主の納税地は、原則として住民票のある住所地になりますが、仕事をする店舗や事務所等が住所以外にある場合は、そこを納税地とすることができます。したがって、自宅を事務所として開業する場合は、必然的に住所地が納税地となります。
所轄税務署がわからない場合は、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方へ」のページで検索しましょう。
提出書類と期限
開業後、税法上決められた提出書類や期限を守らなくてはならない場面がたびたびあります。知らなかったり、うっかりそれをしなかったために、享受できるはずだった有利な税制の適用を受けられなくなってしまうこともあります。まずは、大切な開業の第一歩である開業届等をしっかりと提出しましょう。